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空と人間が大好き! どちらも変わりやすいもの。だからこそ一瞬を見逃せない☆ そんな小さな幸せに気付き始めた今日この頃。 どなたでもコメント歓迎です♪ 足跡あれば辿ります☆
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ようやく病院に着くとそこには沢山の名前が並んでいた。
受付で止められ、何だか解らない質問をいくつか浴びせられた。ようやく僕の口から出たのは
「ママが…ママが倒れたんだ!」
泣き出しそうになりながらも受付のお姉さんに訴えた。困惑した表情を浮かべ、あちらこちらに受付のお姉さんは視線を走らせた。
ようやく一人の看護師と目が合うと小さくすみませんと言った。看護師のおばさんは笑顔で
「僕どうしたの?」
と訪ねた。僕はせきを切ったように泣きだし、ただただママがママがと言った。
「大丈夫。ママのお名前は?」
落ち着いた優しい声に僕は少ししゃっくりまじりに名前を口にした。またせわしなく視線が走る。
ようやくママの部屋へとたどり着くと、そこにはいつものような明るい空気は一切見当たらなかった。ただ重苦く哀しい空気だけが立ち込めていた。妹のユキは何だか分からず、ただ
「ママー?ママ?」
と呼び続けるだけである。
僕の気配に気付いたパパが振り返る。その顔には全く見たことのない人の様な表情が浮かべられていた。僕は相変わらず部屋の入口から動くことが出来なかった。


真っ白い布を顔にかけ、ママは静かにベッドに寝ていた。ただそれだけで僕にも何が起きたかは分かった。何も知らないのはユキだけ。繰り返し繰り返し、ママと呼ぶだけである。
僕が病院で覚えてるのはこのぐらいだった。どうやって帰ったかもパパと何を話したかも全て耳からすり抜け落ちていった。
しばらく、ユキの
「ママは?」
と言う声だけが頭に焼き付いた。





あれから3年。
ユキも小学生になり僕は中学生になった。
ある日の僕の誕生日にパパはラジカセをテーブルに置いた。誕生日の歌でも流すのかと、気にも留めずにいるとそこから流れたのは紛れもなくママの声だった。

「お誕生日おめでとうシンゴ。」
僕の視線はラジカセへと集中した。
「この声を聴いている頃にママは側にはいませんね。元気にしてる?」
僅かに涙声だ。
「ママね…実はとても重い病気だったの。シンゴにもユキにも言えなかったの。ごめんね…」
そう言うとママのすすり泣きが聞こえた。僕は黙ってうつ向いたままラジカセの声を聞いた。
「本当はね、入院も考えたんだけどやっぱりユキも小さいしあなたも遊び盛りだったから。」
沢山の言葉と一緒に僕の目からは涙が溢れだした。どうしてもっとママに優しくできなかったのだろう…自分が悔しくて哀しかった。
テープが終る頃、ママはお決まり文句を残してくれた。
「シンゴはお兄ちゃんだから、ユキのこと守ってあげてね。ママの代わりに…ね。」
そう言うとテープはかちりと止まった。




それから毎年ママからのメッセージは届いた。少しずつ弱まる声と共に。


ママ、ごめんね。
最後の約束守るよ。
僕 ユキをちゃんと守るから。




ありがとう。
愛をくれて
産んでくれて
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【2006/10/25 00:23】 | 物語 | TrackBack(0) | Comment(0) |
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